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FD研修

聖路加国際病院における研修報告

研修期間2018年2月5日~2月9日
報告者川崎医科大学 武鑓 真希(看護師)
研修目的他院の見学を通してがん治療、看護、チーム医療、外来-病棟-在宅との連携について学びを深め、看護ケアの向上、指導に活かしていくため。

1日目(2月5日)

8:20~10:00

オリエンテーション(中村めぐみCNS)

聖路加国際病院の概要、看護体制、研修プログラムについての説明

10:00~17:00

8階東病棟(一般外科病棟 消化器外科、婦人科など)

4年目看護師に同行し部屋周りやストーマケア、手術出し・迎えの見学、シャワー介助を行った。

2日目(2月6日)

8:30~17:00

消化器センター外来

CNS看護師に同行し外来業務、がん告知後の初回面談の見学

3日目(2月7日)

8:30~17:00

7階東病棟(乳腺外科、形成外科病棟)

CNS看護師に同行し部屋周りやケア、自壊創のケアの見学、転院患者の準備

研修終了後18:30~

聖ルカ礼拝堂にて夕の祈りを見学

パイプオルガンの演奏、牧師からの講話を聴く。

4日目(2月8日)

8:30~17:00

10階西病棟(緩和ケア病棟)

看護師に同行し部屋周り、清潔援助を行った。

13:30~14:00

緩和ケア他職種カンファレンスの見学

5日目(2月9日)

8:30~15:00

10階西病棟(緩和ケア病棟)

緩和ケアCNSに同行し部屋周り、ケアを行った。

15:00~まとめ、質問

中村めぐみCNS看護師

院内での患者会、治療費や就労支援についての講習会などの活動について説明を受けた。

まとめ

1. 研修先において学んだこと

この研修に参加し、当院との看護体制やシステムの違い、委員会や看護検討会などの活動が活発にされていることを知った。また同行した看護スタッフ皆が経験年数に関係なく看護の目標や意識を高く持ち取り組まれている姿が大変勉強になった。
 1日目のオリエンテーションでは患者安全のために病院がJCIの認定を受け、その一例としてバーコードによるダブルチェックを実施されていた。患者のリストバンドと確認するもの(点滴ボトル、内服薬、手術の同意書など)とをバーコードで読み取り、患者の氏名・生年月日は口頭で確認されていた。実施するものとの確認が徹底されていた。
 看護検討会については看護師が3年目以上になると自主的に興味のある分野を選び、専門性を高めていく活動が行われていた。そのため様々な分野で知識が広がり病棟内で褥瘡、倫理、感染など様々な視点で話し合いができる体制があると感じた。
 病棟見学では消化器外科、緩和ケア、乳腺外科の3部署を見学した。消化器外科病棟では外来との連携を学んだ。外来でプロファイル項目が書かれた紙を渡され、入院までに記載して持参するよう説明されており、病棟での入院受けが簡便になっていること、手術についての医師からの説明は外来で100%実施されており、手術オリエンテーションも外来でなされているため、手術前日の入院が可能となっていることに驚いた。2日目に外来を見学した際、多くの外来患者の合間に術前オリエンテーションを実施されている状況を知り、実施後にはどこまで説明が済み、その中で患者の心配内容などを記録され病棟看護師に伝達されている体制が確立されていた。外来、病棟双方の立場から連携の意識が高いことを知り勉強になった。
 また術式によっては術前処置をほとんど行われていないことに驚いた。医師側で術前処置についての研究がされており、浣腸や絶食・点滴の実施、臍処置などは上部消化管などの消化管手術では行う必要性はないとされ、実践されていた。今まで当たり前に行っていたことも患者の負担軽減のため見直していく必要があると考える機会となった。
 乳腺外科では、40~50代の患者が多く、妻・母親としての役割を担いつつも脳転移などで退院もままならなくなってしまった患者のQOLをどうサポートするかが課題となっていることを知った。意思決定ができなくなる前にアドバンスドケアプランニングをいかに話しあっておくかが大切であることを学んだ。そして意識レベルが低下した時、脳神経のCNSと協働しどのようにサポートしていくべきか相談する体制があることを知った。自分は消化器を中心に関わってきており比較的高齢者が多かったが、担っている役割が年齢層によって異なり、若年であることで就労やアピアランスケアなど見逃してはいけないものがたくさんあると学んだ。
 消化器センター外来では消化器だけでなく腎臓内科、血液内科、アレルギー膠原病科など多岐にわたり、輸血や化学療法前の診察、抗リウマチ薬の自己注射指導などが実施されていた。ミットについたCNSの方は一般業務の合間を縫ってがん患者の面談を実施していた。今回面談した方は膵癌のステージⅣを診断されており、化学療法を2回施行され看護師面談は初めてであった。気丈にふるまっており、冷静に自分の葬儀やお墓のことについて話され、恐怖心もないことを話されていた。しかし治療が行き詰まった際や体調が変化したり、死を意識する場面にあった時に話ができる人がいることを知っておいてもらうこと、そのための関係を外来で作っておくことが大切であると学んだ。外来でがんと診断された後、化学療法や手術後の療養後は外来が窓口となっている。どういった治療経過でその時々でどのような気持ちで治療決定に臨んだのか過程やその方の価値観を理解して関わっていきたいとも話されていた。私は化学療法など短期入院の患者と接することが多かったが、その方が今どの治療過程にいて、今までどのような治療過程で問題に悩んできたのか理解して関わっていきたいと思った。
 緩和ケア病棟では緩和ケアならではの取り組みがなされていた。音楽療法士、マッサージやアロマテラピーなどのリラクゼーション、ボランティアの方がお花を各部屋に置くなど癒しとなることを積極的にされていた。またできるだけ生活環境に近づけるため点滴は日中だけとし、シリンジポンプは軽量化したものを使用し、できるだけ点滴吊りを使用しない方法を選んでいた。食事は栄養面より楽しむことに重点を置かれラーメンやアイスクリームなどの嗜好品も提供されていた。
 コミュニケーションにおいては患者との関わり方がゆったりとした優しい口調で、話してもいいと思える雰囲気がありその瞬間を共有している、癒されるような感覚があった。ぜひ今後取り入れていきたいと思っている。
 またカンファレンスは頻繁に行われており一度のカンファレンスで看護師、医師だけでなくソーシャルワーカーや栄養士、薬剤師、ボランティアなど他職種で意見交換されることがあり、その場で解決できる体制が素晴らしいと感じた。また医師が他のスタッフとフラットに関わる姿も印象的であった。
 今回の研修を通して、看護の体制や環境面は異なっていることはもちろんであるが、看護観や取り組みに触れ、自分の患者との関わり方を振り返る機会となった。がんと闘う患者の置かれている状況を多方面から理解しようと努力し、解決策をみんなで考え、改善していくこと、そしてそれを言語化して自分たちが行ったことを振り返り高めていく看護を学ぶことができた。自部署に持ち帰り、まずは自分が接する目の前の患者に対し、その方の価値観を理解し、何か困りごとがないか、変えていけることはないかを理解することからはじめていきたいと思う。

2. それをどのように教育に活かすか(いつまでに、どのような形で、どこまで)

研修後の3月に消化器外科病棟看護師にパワーポイントを用いて学んだことを発表した。また現在は緩和ケア病棟へ異動となり、コミュニケーション技法について深く学びたいと感じており、見学した様子をもとに参考書へ立ち戻り、その根拠や意味について掘り下げて学んでいきたいと考えている。病棟のスタッフとその学びについて共有できるよう今年度中に勉強会を行いたい。また院内のCNSと協働しスタッフの知識向上を目指して定期的に勉強会を行っていきたい。

3. それをどのように臨床に活かすか(いつまでに、どのような形で、どこまで)

患者とのコミュニケーションにおいて、相談できる人がいるという安心感を持ってもらえるよう日々の関わりから信頼関係を築いていきたいと考えている。患者の前では忙しさを見せず、ゆったりとした優しい口調で、些細な事でも話してもいいと思える関わりを心がけたいと思う。
 また、患者の置かれている状況や在宅や今後目指す方向性について他職種と積極的に議論し、解決策を広く引き出し、実現に向けて協力していきたいと思っている。
 また看護の上で困難に感じたことをスタッフ同士話しやすく、言語化できる環境づくりを目指していきたいと思っている。

4. それを実行するための方策

・患者の人生観、価値観、考え方、今までの治療経過を理解し関わる。
 ・日々のコミュニケーションについて振り返り、ゆったりとした口調で対応する。
 ・緩和ケア病棟スタッフの困難に思うことについて日々敏感にキャッチし、気軽に話し合えるような調整役を担っていく。
  またそこで出た解決策についてスタッフ間で一つ一つの経験として共有していく。
 ・他職種と解決策について積極的に議論し、それぞれの立場の考え方、患者のあらゆる側面について広く理解を深める。
 ・CNSと協力し病棟内で興味のある内容について調査し勉強会を実施し、知識を全体で高めていけるように調整する。

文責 川崎医科大学 看護師 武鑓 真希

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