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FD研修

四国がんセンターにおける研修報告

研修期間2014年2月3日~2月7日
報告者高知大学 青木 早苗(成人看護学 講師)
研修目的地域の緩和ケアを踏まえたがん診療連携拠点病院の緩和ケア実践への参加を通して緩和ケアの医療提供体制について考察し、今後の地域医療への理解を深める。

1日目(2月3日)

8:30~10:00

オリエンテーション、病棟見学

スタッフステーション
病棟見学
デイルーム
病室
ベッド
共同キッチン

10:00~11:00

新規緩和ケア申請認定会議

11:00~12:00

緩和ケアチーム回診(精神科医、緩和ケア認定看護師に同行)

13:00~13:30

緩和ケア病棟カンファレンス

13:30~17:15

緩和ケアチーム回診(精神科医、緩和ケア認定看護師に同行)

2日目(2月4日)

8:30~12:00

緩和ケア外来回診、緩和ケア病棟への登録と入院についての説明見学

13:00~17:15

がん相談支援センター実習
・オリエンテーション
・病棟患者の退院支援の実際同行

3日目(2月5日)

8:30~12:00

新規緩和ケア申請認定会議
 緩和ケア病棟医師診療見学

13:00~17:15

がん相談支援センター実習
・病棟患者の退院支援の実際同行

4日目(2月6日)

8:30~12:00

がん相談支援センター実習
・病棟患者の退院支援の実際同行

13:00~17:15

患者・家族総合支援センター実習
・施設見学、施設概要説明
・憩いのサロン参加(乳がん患者)

患者・家族総合支援センター
患者・家族総合支援センター
憩いのひろば
憩いのひろば
学びのひろば
学びのひろば
乳がん憩いのサロン
乳がん憩いのサロン
ウィッグ展示
ウィッグ展示
マンマ製品展示
マンマ製品展示
調理場
調理場

5日目(2月7日)

8:30~12:00

緩和ケア登録カンファレンス
 最終討論会、次年度プログラム作成

13:00~

緩和ケアチームカンファレンス
 緩和ケア総回診

緩和ケアチームカンファレンス1
緩和ケアチームカンファレンス2

まとめ

1. 研修先において学んだこと

1)チームで行う症状マネジメントの実際

実習を通して、患者の症状コントロールが適切に行われている状況を見ることができた。患者・家族のQOLを考慮したときに、症状マネジメントを行うことは在宅で少しでも快適な生活を過ごす上で重要である。今回の研修では、本人や家族の訴えを重視しながら、一人ひとりの個別性・価値観を考慮した症状コントロールの実際を学ぶことができた。また、さまざまな角度からそれぞれの専門性を活かしたカンファレンスのあり方も学ぶことができた。医療者間のコミュニケーションは非常に重要で、どういう方向性で支援していくのかカンファレンスで合意形成した後、治療・ケアの実施・評価を行っていた。また、緩和ケアチームが緩和ケア病棟だけでなく、一般病棟で主治医や看護師とカンファレンスをしながら患者の症状マネジメントを行うことで、病院全体の連携にもつながっていると感じた。

2)治療選択・療養の場の選択と支援の実際、切れ目のない緩和ケアを提供するための効果的な体制

がん難民の問題は非常に大きな社会的問題となっている。今回の実習中も退院調整を行う過程で患者・家族が見放され感を訴える場面に出くわした。愛媛県全体での在宅緩和ケア移行の取り組みは非常に進んでいると感じたが、まだまだ患者の納得を得るためにはシステムづくりと地域との対話が必要だと感じた。四国がんセンターでは、退院調整が必要な患者には入院当初から関わり、調整を行っている。その中で患者・家族の思いや意向も伺いながら病院内・外を調整していくことは非常に意義があると感じた。また終末期にある患者にとって、今という「タイミング」も重要であり、そのときにどのように患者・家族にアプローチしていくのかということも大きな支援のポイントである。Advance Care Planningについては具体的なところまでは実習できなかったが、早期からどのような場所で最期を迎えたいのか、どのような最期を望むのかということを緩和ケア病棟に入院希望の患者にはアンケートしていた。患者の病状の変化に伴い、この答えには変化があると考えるが、いかに患者・家族の希望を聞きながら継続的に対応していくのかが重要だと感じた。

3)家族支援の実際

緩和ケアの対象は患者とその人を支える家族である。患者が終末期になるほど家族が意思決定をしなければならない場面や家族のこころのケアが必要な場面が多くなる。受診や入院初期より患者だけでなく家族と面接を行い、その家族の問題や今後起こりうることを予測し、家族を含めてタイムリーに問題を解決していく必要性を感じた。特に在宅で患者が快適に過ごしていくためには、家族がどの程度受け入れができているのか、どの家族成員にケアをゆだねていくのかなど、細やかな情報収集と速やかな対応が必要である。家族のこころのケアは患者が亡くなったあとも重要である。そのためには、いつでも相談できる患者・家族総合支援センターなど、こころのケアを受ける環境の醸成が今後望まれる。

2.それをどのように教育に生かすか(いつまでに、どのような形で、どこまで)

現在私は学部教育や大学院教育に携わっているため、講義の中で今回の研修の生きた体験を学生に語っていきたい。そして以下の内容について次年度実践していく。 まずは基本的知識(身体的苦痛の除去、死にゆく人の苦悩の緩和、基本的欲求の充足、死にゆく人の自己実現への支援、看取りをする家族への支援、遺族への支援など)を講義・演習などを通して深めていく授業づくりを行う。 そして私一人の力では難しいが、「生」「生活」「QOL」を支えること、患者・家族の自己決定を支える看護師としての倫理観を養っていけるようなカリキュラムの見直しも必要であると考える。 家族支援、チーム医療の重要性は上記で述べたが、そのためのコミュニケーション技術(患者・家族、医療者間)について臨地実習の中で振り返りをしていきたい。

3.それを実行するための方策

継続的な自己研鑽を行っていく。
(ELNEC-Jコアカリキュラム指導者養成プログラムへの参加、PEACEプロジェクトへの参加、研修会への参加、臨床実習研修への参加、患者会・家族会への参加など)次年度の四国がんセンター研修のためのプログラムを再考した。

文責 高知大学医学部 看護学科 臨床看護学 青木 早苗

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